総合型選抜の勉強法
総合型選抜(AO入試)の小論文の書き方&対策
総合型選抜(AO入試)における
小論文とは
小論文とは、論文を短くした文章で、「問い」とそれに対する自分の「主張」を、筋道立てて「根拠」をもとに述べたもの。総合型選抜(AO入試)では志望理由などの書類審査と面接試験を課す大学がほとんどですが、その次にポピュラーな試験が「小論文」です。
公募推薦の入試で多くの大学が小論文の試験を実施しています。
大学名を挙げればキリがありません。志望大学の要項でチェックしましょう。
なぜ総合型選抜(AO入試)で小論文が課されるのか?
大学は研究の成果を「論文」によって発表し学問を発展させます。そこで、学生が大学に入って研究をするために、その基本的な力がどのくらい身についているかを評価するのが小論文の試験です。この力が高い人ほど、入学して活躍し大学に貢献してくれる人材であり、大学がほしい人材ということです。
どのような問題が出る?
小論文のパターン
過去問をチェックしておきましょう。
出題ジャンルから分ける
- ①志望する学問分野に関する問題
- ②一般教養的な問題(志望する学問分野と直接関係しない)
- ③志望理由や将来の夢など受験生自身に関する問題(作文に近い)
形式から分ける
- ①<テーマ型> テーマや問いだけが与えられている
- 例 『愛』について自由に記述せよ」(問いは自分で設定する)
「原発の再稼働に賛成か反対か、意見を述べよ」(問いは与えられている) - ②<課題文型> 課題文と問いが与えられている
- 例 「課題文を読んで食のグローバル化の是非について意見を述べよ」
- ③<資料グラフ型> 図表と問いが与えられている
- 例 「グラフから読み取れる若い女性の健康に関する問題点とその解決策について
あなたの意見を述べよ」
内容から分ける
- ①<要約・読解型> 小論文というより現代文の読解問題
- 例「課題文の「食のグローバル化」とはどのようなことか説明せよ。」
- ②<議論型> 賛成・反対を述べる
- 例 「食のグローバル化の是非についての考えを述べよ。」
- ③<問題解決型> 問題に対する原因と解決策を述べる
- 例 「食のグローバル化による問題点を取り上げ解決策を提示せよ。」
良い小論文とは?作文との違い
小論文とは「作文」とは異なる文章です。
小論文に必要な要素と、良い小論文を書くためのポイントを見ていきましょう。
作文
必ずしも「問い」と「答え」があるわけではない。また「主張」があったとしても「根拠」が論理的に 書かれているかは問われない。小論文
必ず「問い」と「答え」がある。「答え」は自分のオリジナルなものでなければならない。 そして「答え」の「根拠」を論理的に説明し、相手を納得させる。 必要がある。\良い小論文のポイント/
- point1適切な問いが立てられている
-
良い小論文は良い問いから生まれます。未解決で賛否両論ある問いを立てます。
小論文では、必ず自分オリジナルの意見(新しい意見やアイデア)を言う必要があります。
そのためには、まずオリジナルの問いを立てることが重要です。
また、問いは具体的でできるだけ絞り込まれた小さい問いにします。 - point2根拠がしっかり示されている
- 小論文には必ず根拠が必要です。 良い小論文は、筋道を立てて説明がなされ、自説を読み手に納得させる文章になっています。 自分の主張に対する根拠を示し、反論を反佀して自説の正当性を主張することで説得力のある小論文になります。
- point3具体的に分かりやすく説明している
- 良い小論文は、読み手に分かりやすく伝えるために、具体例をあげて詳細に説明がなされています。また、文章のルールに則って、簡潔で平易な文で書かれていると、読み手は内容を理解しやすくなります。
小論文の書き方のポイント
~小論文を書くときに大切なこと5つ~
- point1いきなり書かない!
- 時間がないからといって、何も考えずに書き始めない。途中での修正は難しい。
課題文を読み、メモを作るのに、試験時間の半分ほど使う。 - point2制限時数と文章のルールを守る
- 制限字数は厳守。オーバーしたら0点を覚悟。指定字数の8割以上は書くようにしよう。
また、原稿用紙の使い方、書き言葉のルールを守って書く。小論文は基本的に減点方式。ルールを間違えると大きく減点される。 - point3聞かれていることに答える
- どんな問題でも、設問で聞かれていることに答える。
どんなに立派な内容が書かれていても、設問に答えていなければ点はもらえない。
課題文を正確に読み取り、出題者の意図を理解し、自分が書くべきことを踏み外さないこと。
小論文の書き方
どう書いていいか分からない…という人は、型にそって書く方法をオススメします。
論文は構成も重要だからです。
基本の型は以下のようになります。
- 小論文の基本の型(文章構成)
- ①前置き(課題文の要約・図表の読み取り→問題提起)
- ②本論(問いに対する主張と根拠の説明)
- ③結論(答えのまとめ)
小論文を書く手順
課題文を読む
まずは課題文の内容(テーマ・筆者の主張)を読み取ります。
設問を確認し「問われていること」を理解しておきます。
メモを取る
課題文の筆者の主張に「同意」・「納得」・「違和感」などを感じる部分を中心に思いついたことをメモします。
またテーマに関する具体的事例、自分の身の回りの出来事を考えます。
問いを設定する
メモをもとに、論述する「問い」を設定します。
問いは「~か。」という形か、「AとBのどちらが正しいか」という疑問の形になります。
オリジナリティのある問いを作りましょう。
構成を考える
問いを設定したら、メモをもとに主張と根拠を考えます。メモを全て盛り込もうとせず、筋道立った論になるよう構成してみましょう。
根拠はたくさん挙げるのではなく、絞って一つについて深く書いた方が良い小論文になります。
実際に書く
原稿用紙の使い方や文章のルールを意識して、文を書いていきます。
一文が長くなりすぎないように注意しましょう。
例文つき解説!パターン別書き方
①課題文+議論型
序論①課題文の要約
- 課題文のテーマ、筆者の主張をまとめる。具体例は入れない。
- 例 「課題文で筆者は~について~と主張している。」
「課題文の~について筆者は~という理由で賛成/反対している。」など
序論②論述する問いの提示
- どういう問いに取り組むのかを提示する。
それがどのような問いなのかを説明する。 - 例 「では~について~だろうか。」「筆者の主張する~は正しいだろうか。」
「私たちは~すべきか。」「~と~の違いは何か」など
本論①問いに対する意見の提示
- 問いに対する自分の見解(答え)を表明する。
- 例 「~すべきである。」「筆者の主張は~の点で批判されるべきだ。」
「~は適切でない。」など
本論②主張に対する根拠の展開
- 問いに対する自分の答えを根拠をあげて説明する。
- 例 「なぜなら~だからだ。」「その理由は~の点にある。」など
本論③具体例の提示
- 根拠について具体例を取り上げて詳しく説明する。
- 例 「例えば~がある。」「実際に~。」など
本論④反論への対応
- 自分の主張に対する反論を取り上げ、その問題点を指摘することで、再度自分の主張の正当性を示す。
- 例 「確かに~が考えられる。しかし~。」
「一方で~という見方もある。しかし~。」など
結論 主張のまとめ
- 論述を振り返り、問いと主張をまとめる。
- 例 「以上のように~。」「~という問いについて~といえる。」など
②図表グラフ+課題解決型
序論①図表から読み取れる課題の指摘
- 課題の図表から読み取れる傾向をまとめ、課題を指摘する。
- 例 「図から~について~という課題が読み取れる。」
「表から~が問題となっていることが分かる。」など
序論②課題の原因を分析する
- 指摘した課題の原因となっていることを分析する。
- 例 「~という原因が考えられる。」「~がその原因となっている。」など
本論①課題に対する解決策の提示(主張)
- 原因を解決する解決策を提示する。
- 例 「この課題を解決するために~が有効である。」
「~することで<原因>が改善される。」など
本論②主張に対する根拠の展開
- なぜその策によって課題が解決するのか、根拠を示す。
- 例 「なぜなら~だからだ。」「その理由は~の点にある。」など
本論③具体例の提示
- 根拠について具体例を取り上げて詳しく説明する。
- 例 「例えば~がある。」「実際に~。」など
本論④反論への対応
- 自分の主張に対する反論を取り上げ、その問題点を指摘することで、再度自分の主張の正当性を示す。
- 例 「確かに~と考えられる。しかし~。」
「一方で~では解決に繋がらないという見方もある。しかし~。」など
結論 主張のまとめ
- 論述を振り返り、問いと主張をまとめる。
- 例 「以上のように~。」「~という問いについて~といえる。」など
小論文が上手くなるためには?
②良い問いを立てられるようになる
③機能するメモが作れるようになる
④背景知識を身につける
背景知識を身につけるためには、小論文のテーマになる事柄について、日頃から新聞やニュースに目を通す、社会問題や時事に関する参考書を読む、受験する学問分野の関連知識を勉強するなどが挙げられます。
もっと上達したい人のために
小論文をもっと上達させたいという人のために、最後にオススメの書籍を紹介します。
『小論文入門ー改訂版ー』(2010)河合出版
安藤紀典・菅孝行・白川真澄・森永和英 著
学術的な内容で小論文の基本の考え方が身につきます。問題と回答例がついており、解説も詳しいので、何が正解なのかが分かりやすいです。国公立大学の試験対策にもオススメです。
『小論文これだけ!シリーズ』東洋経済新報社
樋口裕一
有名な「樋口式」の樋口裕一さんの書いた小論文の問題集のシリーズ
です。学問系統別になっており、背景知識もたくさん載っているので、知識の勉強にもなる一冊です。
『論文の教室ーレポートから卒論まで』
(2002)日本放送出版協会 戸田山和久
大学に入って初めて論文を書くことになった学生に向け、論文の書き方を詳しく解説した一冊。問いの立て方や論証の仕方、反対意見の反佀など練習問題に取り組みながら学べます。少々分厚くヘビーですが、大学に入っても役立つ内容なので、時間の取れる人にはおすすめです。
『基礎からのジャンプアップノート
記述力養成・小論文 書き込みドリル』
(2018)旺文社 吉岡友治
こちらはできるだけ短期間に小論文の基本を押さえたいいう人におすすめの一冊です。
小論文の一通りの知識ば身につくほか、パターン別の問題と解き方がわかりやすく解説されています。
「良い小論文を書くためには勉強が大変そうだけど、合格するために頑張ります!」
合格者の声
(Yさん)
小論文初心者から早稲田大学合格!
yoursに入って良かったのは、小論文に自信が持てたことです。早稲田大学スポーツ科学部の小論文は「特殊で難しい」と聞いていたので不安でした。しかし、50本以上の小論文を書き、添削していただき、自信につながりました。まず小論文の構成を深く学ぶことができました。単純に自分の意見から述べるのではなく、議題の整理をしてから入る、予測される反論に対しての再反論を述べ、スキのない小論文を作るなど、様々な構成の仕方を知りました。それをふまえ、回数をこなすたびに自分なりの形を築くことができました。また独創的な小論文にするために、新しい切り口の見つけ方・物事の深みのつけ方を学ぶことができました。そうすることで、周りとは違う唯一無二の小論文を書ける力が身についたと感じます。